【小説紹介】特異領域の特異点 1巻(電撃文庫)
特異領域の特異点―真理へ迫る七秒間(著:範乃秋晴)(電撃文庫)
◎この作品について
『特異領域理論』というものが発見、実用化されて大きく変容した世界(地球)が舞台です。
かなり難解な印象というか難解な作品ですが、とりあえず序盤~中盤くらいまではちゃんと読めました(読みました)。
内容の半分くらいは分かったつもりなので、なんとか書いていきたいと思います。
非常に壮大な世界観と設定の下に動く話で、話自体も世界的な大きさで展開します。
◎作品の設定
○『特異領域理論』
この科学実験で50億人の人類が『消されて』しまったとのこと。成功か失敗かはともかく、『特異領域理論』は実用化され、物理法則の書き換えをはじめとして、ほとんど魔法のような科学技術が加速しました。
◎作品の読み方、ポイントなど
けっこう主人公たちの会話が不自然ですね。
多分、本筋が難解なのですこしでもそれをやわらげようとした結果なのかもしれませんが、不出来なコントのようになっていて違和感を覚えます。それでも、科学技術の説明に終始するよりはいいんですが。
前述の通り、本筋は難解です。無茶苦茶な科学技術に加え、無茶苦茶に変容した世界を舞台とし、場面転換も多いです。
設定が多すぎる割には、本筋の話のデキはそれほどでもないような……。
妥協せずマニアックな路線を貫いた結果だと思うのですが、実験作と呼ぶべき作風に仕上がっています。
話(物語の構成)自体は決して特別に個性があって面白いわけでも、強固なスタンダードさがあって安定感があるわけでもないのですが、それを持って有り余る独創性(オリジナリティー)や話の規模(スケール)の大きさを持った、珍しい作品です。
電撃文庫はよくやった、と思ってしまいますね。
最大手レーベルの余裕なのかもしれませんが、他の出版社やレーベルではこのような一般的な枠を外れすぎた作品は執筆が許されないような気がします。
大物・超大物作家が余興で書く、書かせてもらうとかなら別かもしれませんが、あまり当時は実績があるわけではない作者(作家)さんにここまで任せられたのは9S(ナインエス)同様(?)すごいと思いました。
◎まとめ
書い人の理解力ではここまで書くのが限界な気がしますが、読解力に自信のある方やSF、知的な創作物に興味がある方にぜひオススメの作品です。
ちなみに、2巻もあります(1巻以上に難解なので覚悟すべきかと)。