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【小説紹介】されど罪人は竜と踊る 2巻 Ash to Wish (ガガガ文庫)

されど罪人は竜と踊る 2 Ash to Wish (著:浅井ラボ)(ガガガ文庫)

◎この作品について

『され竜』シリーズの第2巻です。
2018年のアニメ版ではほぼここまでアニメ化していました。

1巻や基本設定などが知りたい方はこちらからどうぞ。

◎新しい設定など

○天才咒式士、レメディウス博士

本作のキー・キャラクターになる人物です。年齢は26~8歳くらい?

『チェルス将棋』という、要するにチェスの元大陸大会王者で、現在は咒式技術者。

魔杖剣(咒式を発動させるために必要な武器)などの特許をいくつも持ち、その名を冠した方程式(レメディウス方程式)はその後の物語にも登場し、大きな影響を与えます(翼将第二位の大賢者ヨーカーンはこの方程式を利用してワープ航法的な咒式を使用可能としている、設定が変わらなければ・笑)。

巨大咒式企業ラズエルの御曹司でもあります。要するに跡継ぎ。

ウルムンという独裁国家で誘拐され、平和のためにと開発した魔杖剣『平穏の担い手バロレック』が虐殺に使用されていることを知り、ショックを受けます。

その後なんと、自身を誘拐した反政府組織を率い、戦いを挑むが……。

○禍つ式、大禍つ式

それぞれアルコーン、アイオーンと読みますが、禍つ式(まがつしき)がアルコーンと呼ばれるのは2巻より後かな?

舞台となる街『エリダナ』では違法召喚とみられる凶悪な四次元生命体、『禍つ式』が発生し、殺人事件を起こしていました。

警察の依頼で禍つ式の討伐や事件の解決を依頼されます。市役所からは足元を見られて報酬を値切られます。

禍つ式には3派閥があり、人間界を滅ぼし新たな地にせんとする『混沌派(ケイオス)』と、人間界をその高度な能力により完全統治せんとする『秩序派(オルドネン)』、どちらにも属さない『無派』の3派があります。

禍つ式の上位種は形式番号持ちの大禍つ式(アイオーン)と呼ばれ、〈長命竜(アルター)〉にも匹敵する咒力・戦闘力を持ちます。

形式番号の数字が少なくなるほど強力な個体で、上位から順に、王侯級(1~99番台)、公爵級(100番台)、侯爵級(200番台)、伯爵級(300番台)、子爵級(400番台)、男爵級(500番台)、準男爵、騎士級(600番台)となっています。

2巻では『混沌の五〇二式 ヤナン・ガラン』と『秩序の四九八式 アムプーラ』の2体の大禍つ式が暗躍します。

全体からみると下っ端に見えますが、2巻では猛威を振るいます。

○謎の指輪、宙界の瞳(ちゅうかいのひとみ)

主人公たちの馴染みの咒式具店であるロルカ屋に指輪の調査を依頼したガユス。大禍つ式からは『宙界の瞳』と呼ばれていました。

1万歳を超えた龍、1千歳を超えた〈長命竜(アルター)〉すら遥かに超えた神のごとき力をもつ、この星を支える5頭の龍の鱗からできた螺鈿彫り、赤の宝石は探査咒式などを全てシャットアウトし、恒常的に咒式の無効化が働いている。

生きているとしか言いようがないとロルカ屋の主人のロルカは言います。

◎2巻あらすじなど(ネタバレあり)

15年前、若き日のモルディーンが、まだ子供だが天才のレメディウスとチェルス将棋をたしなみます。

このころで既に11歳で22歳以下の大陸大会を制しているレメディウスでした。巨大咒式企業、ラズエル社の御曹司でもあります。

いくつかの決まり手を覚え、あとは持ち前の論理力でモルディーンはレメディウスと引き分けを狙いますが、最強の専門家であり咒式による思考の拡張で秒間1兆手以上を思考できるレメディウスには敵いません(そりゃそうだ)。

ただし、レメディウスからは前に戦った先代大陸王者よりも手筋が読み辛かったと言われます。

モルディーンはレメディウスを自身の最強戦力である十二翼将に誘い入れますが、レメディウスの伯母(おば)のカルプルニアが大事な跡継ぎだといって拒絶します。

レメディウスもそれに同意し、その場を去りました。モルディーンはレメディウスの良き未来を祈ります。

そして現在。主人公ガユスとギギナは住んでいる街『エリダナ』で頻発している『禍つ式』の討伐を警察から依頼されます。

ドーチェッタという人物が独裁と圧政を行っているウルムンの反政府勢力がエリダナで暗躍しているとの情報を新聞記者見習いのアーゼルから聞きます。

また、巨大咒式企業ラズエル社からはその反政府組織の人質となっているレメディウス博士の20億イェンという巨額の人質交換の立ち会いを依頼されます。

人質交換の場で謎の襲撃に遭い、反政府組織の首領ズオ・ルーの強大な咒式能力を垣間(かいま)見ます。

また、襲撃の直前に、レメディウス博士は死亡します。

その後エリダナ四大咒式士の1人、ラルゴンキンの事務所に出向きますが、ここでまた禍つ式による襲撃が起きます。

ラルゴンキン事務所は死人を出しながらもこれを迎撃、粉砕します。ガユスとギギナ(主にギギナ)も戦いました。

その後、大禍つ式たるヤナン・ガラン男爵とアムプーラ子爵と遭遇戦になりますが、手も足も出ません。

一旦撤収する大禍つ式と追いかけるラルゴンキン事務所ですが、取り逃します。まあ、この場で戦ったら概(おおむ)ね全滅していたでしょうけど。

その後、ガユスとギギナ、ラルゴンキンに副事務所長のヤークトーが高級レストラン『海鳥亭』で食事、禍つ式についての講義をヤークトーから受けます。

話をしていると、本当に大禍つ式の2人が現れ、一連の事件たる『夜会』の法則を見破ることだ、などとヒントを投げかけて撤退していきます。

その後、情報屋(のヴィネル)から連絡が来て、ウルムンの反政府勢力の隠れ家が見つかったので場所の情報をガユスは言い値で買い取ります。

隠れ家で前に会ったレメディウスの暗殺、襲撃を企てた皇国の特殊部隊である〈竜の顎(りゅうのあぎと)〉と再度対面します。

前にガユスたちはこの組織からレメディウスが反政府勢力を乗っ取り党首になったことを聞かされていました。

立体光学映像から新しい党首であるズオ・ルーと対面するガユスと〈竜の顎〉。レメディウスからの伝言を聞かされます。内容はラズエル社本社のあるラズエル島に対する咒式弾頭2発による攻撃、それを憎悪をもって宣言します(有名な「死ね」連打)。

咒式弾頭は超定理系第七階位〈アヴァドーン〉を大規模に発動するもので、発動範囲内の生物を地獄の苦しみとともに殺害するという凶悪なもの。

当然、禁忌咒式です。未完成だったものをレメディウス博士が完成させました。

ガユスが事件の関係性を見抜き、とある時計台が大禍つ式の居場所だと推測をつけます。

ガユスとラルゴンキン事務所、そして警察(警察士)の計28人が突入部隊として時計台に突撃を仕掛けます。

チェルス将棋の駒を真似た禍つ式と戦闘になり、さらにはヤナン・ガラン男爵との戦闘になります。

ヤナン・ガランは遠隔咒式をつまらぬと言い、すべての遠隔咒式を強力な咒式干渉結界(咒式効果を消すバリアのようなもの)で打ち消します。

さらにはガユスが発動に当時は数時間の準備が必要で、脳や神経系を灼(や)き切る覚悟がいる〈パー・イー・モーン〉、核融合放射咒式を軽々と発動します。

倒すには接近戦しかないとして、ギギナやラルゴンキン、その部下の精鋭たちが接近戦を挑みます。

ガユスの発案で即席の毒ガス(咒式ではないので結界に邪魔されない)を使って一瞬の間だけヤナン・ガランの動きを止め、とどめをさすことに成功します。

残るアムプーラ子爵へはガユス、ギギナ、ラルゴンキンの13階梯(咒式士の最高階梯・ランクになります)の3人だけで戦うことになります。

アムプーラはヤナン・ガランと同等以上の体術を持ち、何よりも自身を転送して移動・復元する咒式、数法量子系第七階位〈ゴアープ〉を連続使用するのが厄介極まります。

ついに時刻は迫り、アムプーラごと咒式弾頭が発射され、ギギナの飛行咒式でガユスがアムプーラを追いかけます。

ラズエル島の上空で炸裂しかける弾頭ごとアムプーラを、ガユスの化学錬成系第七階位〈パズ・ズー〉(いわゆる燃料気化爆発または熱圧(サーモバリック)兵器咒式)でチェックメイトをかけました。

その後、ガユスはレメディウス、ズオ・ルーとなった天才咒式士にエリダナで再開します。

ラズエル島の攻撃は警察を出動させてウルムンに大量の咒式兵器を密輸するための囮だった、と言います。〈アヴァドーン〉による咒式発動はそもそもドーチェッタ相手に使うつもりで、実際、暗殺には成功します。

その後、ズオ・ルーことレメディウスは革命を続けますが、志半ばで暗殺されます。

希少金属(レアメタルですね)の鉱山がウルムンで発見され、大国の都合からレメディウスは絶対の暗殺対象でした。

レメディウス(ズオ・ルー)の死亡を新聞で知り、理想のために戦ったレメディウスにガユスは複雑な内面を覗かせ、ギギナは竜への鎮魂の歌をレメディウスに捧げます。

最後にレメディウスと途中で死んだ恋人のナリシアが平和への灰の祈りを捧げる場面になり、物語は終わりを告げます。

◎感想など

おそらくは、最も完成度の高いされ竜の話です。1巻どころじゃない鬱(うつ)度でもありますが、まだまだひどい話は続きますのでご安心を(マテ)。

3巻以降はかなり長くてあらすじを書いていられないので、ポイントを絞って感想を書こうと思います。