書い人(かいと)のブログ

書い人(かいと)のブログ

現状報告・雑記を主に書いています!

【小説紹介】されど罪人は竜と踊る 短編『そして何度でも』に感動した話【ネタバレ全開】

どうも、書い人です。

『されど罪人は竜と踊るDD ⑲ 灰雪の蹉跌』(著:浅井ラボ)(ガガガ文庫)、今回は短編集です。

前回の紹介が3・4巻ですので、思いっきり飛んでいますがそこはご愛嬌。

エログロが多すぎて、この場で語れる商品(小説)じゃない気がしたので避けています(かなり、苦笑い)。

19巻で感動した1編『そして何度でも』を抜き出して紹介したいと思います。

また、基本的設定に関する説明については、1巻2巻の紹介記事を読んでください。

○あらすじ(ネタバレあり、スクロールして読んでください)















名家のマーコート家が、ガユス(主人公)たちの事務所(大所帯になっています)に『284年前から伝わる呪いを解いてほしい』と依頼を持ちかけます。

呪いについては、『ボレオロフス』という(ほぼ)不死身の『禍つ式(まがつしき)』(2巻参照)が、マーコート家の娘が9歳になるとその娘を殺害し、それと同体積(質量・重さにあらず)の黄金と交換する、というもの。

ボレオロフスは黒い粒子の気体状の生物で、全てを(ナパームや核融合咒式で)焼き払っても、即座に再生します。

ボレオロフスの正体は、284年前の咒式士(当時は咒式が整備されておらず、呪術師や魔術師と呼ばれていました)であるデンデイムがマーコート家の9歳の娘との婚姻と引き換えに(←そういう趣味の人でした)に咒式契約で呼び出した、何らかの方法で黄金を生む禍つ式でした。

婚姻の祝儀の際にマーコート家から毒を盛られましたが、死の間際に咒式を書き換え、今のようなマーコート家の直系の娘が9歳になるたびに殺害し、また同体積の黄金をもたらすようになりました。

マーコート家も経営破綻(はたん)などの際の保険(生贄・いけにえ)としてこれを利用していたらしいですが、娘の命が大事なのも事実です。

娘の母が存命しており、唯一生き残った例となっています。

いわゆる『呪詛(じゅそ)咒式』の類で、解除条件は不明でした。

手がかりとして、その母親を命がけで守り(一時的にボレオロフスを撃退)、金品も一切受け取らずに去っていったという攻性咒式士がいたため、調査に乗り出します。

相当に粗暴な咒式士であったらしく、当時の娘(母)を無償で助けた理由は一切不明。

探したと思ったら、実は一卵生双生児、双子の弟でした。解決は先延ばしになります。

彼の情報から兄を見つけ出し、救出する方法を探しました(ここから本ネタバレ)。

最後の日(娘の誕生日当日の午前0時)に、助ける方法を知っている彼との共同戦線でボレオロフスとの戦闘になります。

呪詛の解除方法は『マーコート家から報酬を一切受け取らず、命がけでボレオロフスから娘を守って戦う』というものでした。

最終的には双子の弟が爆裂咒式を紡(つむ)ぎ、ボレオロフスに特攻を仕掛け、呪詛を解除します。

皆が黙とうするなかで、意外にも助かった弟。

爆破から彼を守ったのは、なんとボレオロフスそのものでした。

デンデイムよ」とボレオロフスは言います「お前が思っていたより、人間は捨てたものではない」と言ってボレオロフスは消えていきます。

双子の兄は母(当時の娘)を命がけで助けたことで立派な(正しき人の)道を歩むことを決め、弟はその後マーコート家の金庫から半分の金品を盗んで逃亡。ろくでなしを続けているみたいです。

タイトルの『そして何度でも』はボレオロフスの呪いと、人類の英雄的な決断が何度でも続き、だからこそ人の世が続いている、といったことを表すしているのでしょうね。

○感想

そのまんまなのですが、無報酬(ボランティア)で命を賭ける人間など居るわけがない、とせせら笑って(多分)死んでいったデンデイムに、見事それに反して成し遂げた2人には好感が持てます。敬意を表する、といってもいいですね。

後味もすっきりしており(それまでに死んでしまった9歳の娘は可哀想ですが。ちなみに、今まで男系でマーコート家は続いていたってことですね)すごく良い読了感でした。

作品はこちらからどうぞ!